[赤]ピエール・ギヨン・ピアーズ/Pierre Guillon Peers トリプティック#2 2021
ピエール・ギヨンは2021年がファーストリリースです。
明るいルビー色。苺のコンフィチュールやグレナデン、葉付きの苺を想わせるやや充実感のある赤い果実の香りに加えて、針葉樹や生花店を想わせる清涼感のある華やかで仄かに青みがかった香りが感じられます。
口に含むと赤い果実の甘やかな風味が凝縮しており、そこに黒系果実のニュアンスが少し加わり、#1に比べるとしっかりとした印象を受けます。舌先をピリピリと刺激する微細なガスが感じられる軽快感のある飲み心地で、赤い果実のコンフィチュールのように充実した風味とピュアな果汁感を想わせる果実味が溶け込み、仄かな青みがかったニュアンスがアクセントのように抑揚を与えながら口中に膨らみます。広がりゆく中で黒系果実の風味や微細なタンニンが徐々に感じられ、アフターには落ち着い雰囲気が残ります。
ピエール・ギヨンがナチュラルワインと出会ったのは2007年(当時19歳)、芸術専門学校に通っていた頃父親がペルピニャン付近でBuena Bocaというナチュラルワインバーを始めた事がきっかけでした。 その後自然とワインに興味が芽生え、当初は父親の仕事を時々手伝いながら週末は頻繁にサロンで試飲を重ねたそうです。学校卒業後はトゥールーズで友人とシルクスクリーン印刷の会社を立ち上げ、しばらく芸術活動を続けていました。その間、ワインへの興味は途絶えることはなく、2017年に初めて個人消費目的で山葡萄から20Lのワインを作ったそうです。2019年には会社の仕事と並行してドメーヌ・チュロニス、翌年2020年にはペシゴ(シルヴァン・ソー)で修行を積む中、コロナ禍の打撃に より事業を撤退し、ワイン造りの道へ進むことを決意しました。彼の印象はエネルギッシュでワイルド感がありますが、会話中は常に笑顔で人当たりが良く、優しい人柄が伝わってくると同時に、ワインに対する深い愛情が感じられます。醸造過程の中で、マセラシオンやプレス時など、その時の香りや味わいなどの感覚を大切にして、どのようなキュヴェを造っていくのかを考えます。芸術的な側面や豊かな感受性による感覚がワイン造りの大部分を占めるスタイルの生産者です。